福井市の浄土真宗本願寺派浄善寺の門徒会館は、福井空襲と福井地震の2度の被災の後に本堂として建てられましたが、昭和54年に隣接して鉄筋コンクリート造の本堂が建てられた後は、門徒会館として使われてきました。
しかし、報恩講のようなお参りになる方が多い時には、お御堂機能の旧内陣を残す形では座敷が狭く、台所も離れていたために門徒会館としては使い勝手が悪く、また、高齢者対応の必要性もあり全面的な見直し計画になりました。
建てられてからの形をそのままに所々に老朽化が見られ、建替えの話も出ましたが、昭和20年代の物資の乏しい中で、檀家の皆様の浄財で本堂として造られたこの建物の意味は大きいと感じ、新しい門徒会館として残していくことを提案しました。
耐震診断により構造要素を再配置し、横架材の補強と継手仕口の補強は全面的に行ないました。
既存の土壁の老朽化が激しく、耐震壁への変更もあり、乾式の間仕切り壁にせざるを得ないところは反省点として残りましたが、2階外壁部の既存土壁を蓄熱体としてその外部側に断熱材を付加し、客殿としての座敷の土壁は補修の後、上塗り直し、土壁を今後に残す修繕としました。

木造2階建て 500㎡-築75年の門徒会館の再整備

改修前 前景

ジャッキアップをした後、ベタ基礎で補強

土壁と筋交いによる耐力壁

改修後の門徒会館

改修後の前景

本堂、渡り廊下、門徒会館

座敷

座敷の床飾り

廊下

渡り廊下