周囲を田畑に囲まれた由緒ある寺院の庫裏の改修計画です。
境内には天然記念物に指定された樹齢1000年を越える大欅があり、見物に来られる人も多く、檀家の人たちの精神的象徴にもなっています。この庫裏は築年数は不明ですが、他所にあったものを移築し、約50年ほど前に茅葺き屋根を2階建ての瓦葺きに改修していることが判りました。解体し新築の計画も考えましたが、1階部分が欅の柱に差鴨居という伝統的な民家の工法になっており、まだ使えることから、その面影を残しながら、現在の使い方に合わせる再生の方法をとりました。
庫裏は門徒会館と住職家族の住居という2つの用途があり、門徒の方々が頻繁に来ていただく気楽さとプライバシーを保つことが求められます。門徒会館部分は既存の座敷をできる限り残し、住居部分は機能性を重視した明確なゾーニングとしました。
この庫裏は長い年月、何世代にもわたりここにあり続けてきました。これからもこの地域の精神的支柱として在り続けてほしいと願っています。

木造2階建て 475㎡-築150年を超える庫裏の再生

改修前の全景
正面の大ケヤキは国指定天然記念物

改修前の庫裏
茅葺の屋根を昭和30年代に屋根替え

構造補強
ジャッキアップ後、ベタ基礎に変更し耐震壁を配置

改修後の庫裏全景
屋根雪が中庭に落ちないように変えている

東側、妻面
外壁は杉 下見板張り

妻面、2階部
ガラス格子窓と黒漆喰の壁

北庭から

座敷、縁側と本堂への渡り廊下

玄関ホール

座敷他
報恩講では襖を外し広間に

玄関から座敷方向

座敷

座敷の北、縁側

次の間

庫裏の屋根から大ケヤキ