福井県永平寺町で建築中の住宅は、 梁間3.5間、桁行6.5間の木造2階建てで、屋根は切妻・瓦葺き。 
平面形態は長方形の中に必要な部屋を収める「家の原型ー直屋(すごや)」としている。

木で建築を造ることの特徴を生かしたいと考え、山の木が切り出されて、建築用の木材に成形されるまでの様々な表情を残すために色々な加工を試している。

近代の工業化される以前の手加工では、真っ直ぐで直角の整った角材や板材への加工に多くの工程と手間がかかるので、必要に応じて、チョンナで斫るなどの途中の段階で適材適所に使われる。 
例えば、小屋組のように手に触れない高い場所では皮を剥いたままの丸太の状態、簡単に面をつけただけで用いられることが多い。 
それは、必要以上に手間をかけて木材を傷めることを良しとしないから。

この家では、松丸太をチョンナで仕上げている。 
原木を必要最小限の加工で有効に使い、表情に自然の姿を残す丸太組みは、力強い空間になる。 
  
  
また、伝統的な継手仕口で木を組み合わせて造っている。 
地震時などの大きな外力に備えて、それに耐える補助金物が必要になるが、基本は継手仕口による木組みでまずは構成したい。 

登り木の棟部分はホゾを差して栓で止め、接点部に棟木を組み入れ、力が加わることで互いに締め合う木組みを取り入れている。

化粧材として現しになる胴差しの継手は「尻挟み継ぎ」に。

柱と床梁の仕口は、長ホゾ差しに込栓や車知栓にしている。
結露を起こしやすいボルト等の大型の金物を避けて、木と木を組み合わせる工法を採用している。

 梁・桁の仕口は「渡りあご」でしっかりとかませている。

日本の木造建築の基本を踏まえて、現在の生活の中に生きる家=「現代の民家」にしたいと考えている。

2018.01.05