福井の寺院本堂でも、雪に備えて雪囲いを行う必要がある。
雪が舞い込むことを防ぎ、屋根からの落雪が高く積み上がり、壁や開口部が雪で押されることを避けるために、本堂をぐるりと一周、囲うことが毎年行われる。


竹簀(たけす)で覆う方法は、昔から一般的に行われる。
秋の落葉の季節に、人手をかけて行われる風物詩にもなっている。

雪囲いにかかる手間を、少しでも簡略化したいとのことから、近年、テント生地による方法がよく見られるようになった。

日野山の登山口にある日野神社。
その都度、木製の下地を組み、テントをくくりつけている。

テントと竹簀の併用。
向拝に三角の雪割りを設けて、参拝者の動線を確保している。

同じく、テントを採用しているが、ロールスクリーン式になっていて、毎年の作業をより簡便にしている。
巻き上げてロール状になるテントが、軒下に常に残り、取り付け用の下地の骨組みも常設になる。

出雲路派本山 毫摂寺の御影堂のように大規模な本堂になると、使われるテントの枚数も多く、大きなテントを高所に取り付けることになる。
高所作業か足場が必要になってくるため、毎年の費用もかさむのではないかと思われる。

勝山市内の大型の本堂。
大型のテントを巻き上げ式のバトンに取り付ける方法で、高所作業が少なくなるようにしている。
屋根が銅版葺きなので、自然落下した雪が高く積み上がり、本堂正面から入ることはできなくなるが、脇の玄関からの動線が確保されるので問題はない。

積雪が多い奥越地域の本堂は、屋根雪の対策も考えなければならない。
屋根雪を降ろすことを考慮しているので、雪止め瓦を併用して、作業員が屋根に上がるための階段を写真右側に見ることができる。
しかし、屋根勾配が急なために、作業の安全性に大きな問題が残り、しかし、雪止め瓦を無くすと、大量の落雪の恐れがあるので、軒下の安全面に関わる。

福井の寺院本堂に、それぞれの悩みとその対策を見ることができる。

2021.02.20