地域の気候、風習、地勢に合ったカタチにする

多雪地域、風が強い場所、海や川に近い敷地、全面道路の交通量など敷地の条件で建物のカタチが導かれます。
地盤の性質、敷地周辺の状況を考慮に入れて、ふさわしいカタチを提案します。

軒の出の深いテラス

庇を長く出す、軒の出を深くする、雨の日でも窓を開けて、内部に風を取り入れ、真夏の直射日光を遮ることで、室内の環境を安定させます。
庇の下の半屋外の空間は、居室を外に広げて緩やかな境界をつくり、住空間にゆとりを与えます。

多雪地域では、屋根雪降ろしの作業を安全に、楽にすることが重要です。
住み手の世代が代わったことから、2階建ての木造住宅を平屋に減築しました。
危険な屋根雪降ろしを避けるために梁桁の構造補強をして、除雪を楽にできるように建物周囲に十分な空き地をとっています。

減築して雪に強い家へとリフォーム

北向きの庭へ大きく開放できるように縁側を広げています。
無垢フローリングと畳の半外部の縁側は、夏の蒸し暑い時期には涼しい風を取り入れ、雪が多い冬期は断熱の緩衝区画として有効です。

LDKの外側にウッドデッキを張り出しています。
開口部は全面開放が可能で、LDKを外に広げることができます。
住宅地のため、目隠しのルーバーを県産材の杉の間柱で作りました。

戸を開けた瞬間に寒風が吹き通る位置に玄関を設けるときには、内玄関戸が必要です。
玄関収納を勝手口にして併設することで散らかりやすい玄関土間もキレイに維持できます。

雪囲いと渡り廊下
屋根雪降ろしの後は、窓や外壁を押す雪の除雪が必要になります。多雪地域では、雪囲いは建物を保護するために必要な仮設装置ですが、組み立て・解体する作業は毎年の恒例になるため、簡潔にしておくことが必要です。
雪に強く、その手間を簡単に…便利さへの追求=知恵の積み重ねがここには求められます。