屋根を福井県産材の越前瓦で葺きあげた。

瓦は粘度を成形して窯で焼いて造られる(焼成)。 
  
瓦の生産地は日本の各地にあり、いい土が採れる地域であれば、瓦も造られている。 
  
福井では、焼物の日本六古窯の一つでもある越前焼の産地、越前町小曽原(宮崎村)周辺に多くの工場があったが、だんだん少なくなってきている。 
  
瓦は6世紀に渡来人によりもたらされ、仏教との関係が深い。 
 古代では、寺院の屋根は瓦葺き、貴族の住宅の屋根は檜皮や柿(こけら)で葺かれていることが多く、一般庶民の屋根に瓦が使われることはなかった。 
江戸時代の1720年に将軍吉宗が瓦葺禁止令を廃して、江戸市中の一般住宅の屋根に瓦屋根が推奨されるが、その理由は、茅葺きや板葺きの屋根が連なる江戸の町が、何度も大火に遭ったことにより、都市の防火性能を向上させるため。 
もう一つの理由は、1600年代に考案された江戸葺瓦・並べ瓦(現在に見られるS字の形状の桟瓦)により、作業効率が大きく改善されたことが大きい。 
  
明治に入り、葺土を使わない、今の引掛け桟瓦に改良されて、広く日本の屋根葺き材として普及する。 
  
しかし、現在では、屋根の軽量化が耐震に有効であることやフラットな屋根のデザインが好まれるなど、工法が多様化して、特に、伝統的な風情が強い桟瓦の屋根は少なくなってきている。 
  
  
この住宅で使われている越前瓦は、福井の伝統的な地場の建材で、吸水率を少なくするために酸化鉄の釉薬を裏表に着けた釉薬瓦で、焼成の最後の工程で燃焼に必要な酸素を少なくして、一酸化炭素を発生させ、釉薬の酸化鉄を、酸素の奪われた酸化鉄にすることにより、青みがかった銀色(銀鼠)に仕上げられている。 
焼きの温度も高いので硬く、雪に強い瓦と言われている。 

いらかの波を上から見るとこの通り。屋根雪を1.5mまで載せても大丈夫なようにしていて、雪止め瓦で滑雪を防止している。 

勾配は5寸で、中央に少しの起り(むくり)をとり、柔らかい表情にしたいと考えた。

軒先の庇は、勾配を7寸に変えて大きく出し、窓を雨水や直射日光から守っている。

2020.04.12