1756年ごろに建てられたと思われる修繕前の姿。
不朽部を交換し屋根瓦を葺替え、積雪対策をした。
福井県大野市に建つ鐘楼門修繕工事が完了した。
鐘楼門は、遠くまで時を知らせるために鐘を高い位置に吊り、寺院の門を兼ねた建物のことで、柱を2層に積み上げた「おかぐら造り」が多い。
そのため、不安定な建築になりやすく、修繕前のこの鐘楼門の四隅の補強柱は、豪雪を考慮して、入れられたものらしい。
初層の柱と虹梁の仕口部が不朽し、外れる恐れがあったため、ジャッキアップをして、取り替えた。
大梁には長いホゾで組み合っている。
傷んだ地垂木と木負の交換。
飛燕垂木、茅負も痛みが大きかったため、交換した。
支輪板の裏の隙間には長年のチリや落ち葉が詰まっていたので、すべて取り外し
虫害で問題のある支輪板を交換した。
桔木を入れ直して小屋組みを整理し、母屋桁も取り替えている。
梁間に対して軒の出が大きいため、特に隅木を補強するために、隅桔木を中心部で固定した。
差し桁の破風板との仕口。
破風板の取り付け。
破風板の拝み部分の詳細。
野地板の上にルーフィングを施工し、瓦座を取り付け
越前瓦の桟瓦で屋根を葺いている。
降り棟と隅棟の取り合い部分
蓑甲と懸魚
内部から見上げた詳細。
上層部を歩くだけで揺れを感じるほどだったので、雪に対する備えと横揺れを抑えることを目的に、格子状の補強をしたために、鐘楼門の外観を損ねてしまった。
ただ、この鐘楼門は本堂とともに江戸中期に建てられたことが予想され、これを後世に残すことを一番の目的としているため、次の世代の新しい知恵で解決して欲しいと願っている。
2017.10.30