木造とは、柱や梁に木が使われた建物のことで、これが鉄材だと鉄骨造で、コンクリートでは鉄筋コンクリート造(RC造)になる。
木材は当たりが柔らかく、自然な風合いが見た目にいいので、鉄骨造やRC造の建物の内装材に用いられることも多いが、内装材などにどれだけ多く使われても、それを木造とは呼ばない。
住宅の材料にするには、山で数十年、時には100年を超える自然の立木を、適切な時期に伐採して、運び出し、その丸太から、ふさわしい部材を取り出す。
適度に目が詰んでいて、真っ直ぐな丸太からは、真っ直ぐな材料…例えば柱を取り、曲がりがあれば、その曲がりを生かす材料…例えば梁・桁に製材される。
鉄材やコンクリートでは、自由な形に作ることができるので、長く、太く、細く、自由な曲線の部材を形成できるが、木材では限界があり、元々の木の特徴を生かすように形作ることになる。
木は素材として、そのまま(木理を生かして)見せることができるので、構造材であり化粧材として使われる。
その化粧材としての仕上げ方・見せ方のバリエーションが、鉄骨造やRC造より多いので、最初の写真の丸太の状態から、どのくらいまで仕上げていくかが、木造建築の見せかたの面白みでもある。
現在の製材品の多くは、断面が四角で、真っ直ぐ、表面が平面になった木材が一般的で、角材と呼ばれ、角材が木造建築の主要な材料になっている。
和風の住宅建築で、時折、わざわざ丸太を使うが、現在のような製材機の無い時代は、丸太を角材にするには、手間が大変で、材料のロスも多い(歩止まりが悪い)。
そのため、小屋裏などの化粧材としての必要性が低いところや、囲炉裏周りなど内向きの空間では、最小限の加工に仕上げて、丸太として使われることが一般的だった。
必要最小限の丸太の仕上げの一つに、ちょんな(ちょうな)と呼ばれる道具で、ハツリをしただけの方法があり、100年以上前の古民家の梁・桁に見られる。
木材の表面がデコデコ?した感じになり、角材が定規で引いた線になるのに対して、フリーハンドの柔らかい感じになるので、この仕上げに取り組んでいる。
組み上げられた木材が柔らかさを見せてくれて、この建物が自然・裏山・里山と繋がっていることがよく解る。
2020.02.01