続いて、茅小舞の下地に荒壁を塗り付ける作業を行っている。 
壁土は、瓦の原料にもなる粘土に砂を加えて、藁を数回に分けて練りこみ、寝かせて、ほどよく藁の繊維がほどけた状態のもの。

小舞下地のマス目から向こう側に “ムニュ” っと土が顔を出すように、ぐいぐいと押さえつけながら泥土をつけていく。

裏側に飛び出た土(ヘソ)は、頭をなで付けることで、小舞下地と泥土が剥がれにくくなり、裏側に塗る泥土(裏返し)との一体化に有効になる。

裏側の土壁を塗る(裏返し)のタイミングには、いろいろな意見があり、古式京壁の左官  佐藤治男さん(保存技術保持者)にも伺ったが、単純にどちらがいいという結論はないらしい。 
ここで問題になる点は、小舞下地を境界にして、壁が三枚下ろしのように剥がれ落ちるのを防ぐこと。 
数年前に行われた「土壁・石場建て民家」の振動台実験で、最初の揺れで土壁が剥がれ落ちてしまい、土壁の強度が十分に得られず、小舞下地のマス目の間隔と裏返しの方法がいろいろと話題になった(ニッチな業界内で…)。 

ここでは、裏返しを付ける面(裏なでした面)の硬さが出てきて、乾く前の少し湿った状態の時に泥土をつけている。 
この場合は、荒壁土の乾燥に時間がかかるが、剥離を起こす境界面ができにくいので、表と裏の一体化に期待ができる。

この後、既存の漆喰壁の補修を進めながら、荒壁土の乾燥を待つことになる。

2016.10.04