ハナレのオモヤ

 
2006年に、子供夫婦のための居住スペースを、「農家の離れ」として計画した。
 
その時には、小中学生だった兄妹も、就職などでこの家を離れ、親世帯のご夫婦も亡くなられたことから、築年数が70年を超える母屋(オモヤ)を小さくして、離れを補完する計画をすることになった。 
 
 
 

 
前面の道路側に建っていた築70年をこえていた既存住宅。
入母屋屋根の式台形式の玄関を入ると、板の間のホールと階段があり、仏壇を備えた座敷、次ノ間が田の字に並んでいた。
下屋部には、居間、台所等の水まわりがある典型的な農家で、二階の各個室は、襖で間仕切られていて使い勝手に問題があった。
 
 
 

 
子供世帯の子供たち(孫たち)に個室が要する時期(2006年)に、玄関以外の機能を分離する完全二世帯住宅としての「ハナレ」を計画し、「オモヤ」と渡り廊下でつないだ。
 
それから十数年が経ち、今回、既存「オモヤ」の一部を壊し、玄関部と仏壇のある座敷兼客間と大きめの納戸と収納を造り、「ハナレ」を補完する計画をした。
 
 
 

 
道路から自動車が楽に入れるように、前の部分を解体し、玄関部をセットバックしている。
 
 
 

 
屋根雪おろしをすることのないように、既存の構造を補強し、水下側に貯雪スペースを取り、その方向に屋根勾配を向けている。
 
 
 
 
 
前面道路奥に建つ「ハナレ」のメンテナンスのために導入路を整備した。
 
 
 

 
玄関は、引き分けの木製戸。
吹雪と西日対策のため、開口部を調整した。
 
 
 

 
 風の強い冬季に、内部奥まで冷気が入り込まないように、内戸を設けている。
 
 
 
 
 
「オモヤ」と「ハナレ」で取り囲むように日当たりのいい中庭を作り、余裕のある配置ができている。
 
農村部の住宅は、住まいの代が変わって家が受け継がれると、その地域での役割も変わることなく受け継がれていく。
 
今回の計画が、ご家族の住環境の改善と地域のコミュニティの維持に、貢献していってほしい。
 
 2020.01.30

 

 丸太の木造り_福井市の家ヒライリ

 
梁として使われる丸太材の手加工の様子。
材料は、福井県産材の、末口300mmから360mm程度の杉丸太と、同じく県産材の松丸太で、特に、福井県産材の松丸太は珍しい。
 
 
 

 
杉丸太は、長さ4Mと5Mの物が3本。
杉なので、ほぼ真っすぐだが、多少の曲がりは、自然素材なので当然ある。
 
 
 

 
仕上がり寸法の当たりをつけるために、墨打ちをまずは行うが、鬼皮が付いていてはできないので、皮むきをする。
 
 
 

 
鉞で、荒ハツリをして、大まかな形をとる。
鉞ハツリでは、木目に沿って(繊維の流れを切らないで)成形するので、木材の強さを最大限利用することができる。
 
 
 

 
一番手前は、鉞で荒取りした杉丸太。
手前から2番目は、荒取りから電気カンナ等で成形して、仕上げた丸太(松丸太)。
 
 
 
 
成形後の杉丸太。
自然の緩やかな曲がりがあり、このまま2階の床の荷重を受ける梁に使う。
 
 
自然素材である木材は、山での生育条件で、曲がりやねじれが起こるので、1本ずつ異なる。
それを組み合わせて建築にするには、やはり、1本ずつ確かめながら加工する必要がある。
 
 
 
 2020.01.25

 

 着工_福井市の家ヒライリ

 
敷地は、福井市中心部の中低層の住宅が密に建つ閑静な住宅地にある。
前面道路は、幹線につながり、車両の通行量は多い。
 
ここに、小さな男の子たちとご夫婦のための住まいを計画することになった。
 
 
 

 
敷地の間口は10m弱で、奥行きは20mほど、駐車スペースを確保して、木造の2階建てにしている。
 
 
 

 
福井市内は、比較的に地盤が良好でないことが多いが、今回は、特別な地盤対策は必要ない。
 
 
 

 
地鎮祭も皆様の参加のもと、無事、行われて着工となった。
 
 
 

 
構造材と造作材には福井県産材を使用している。
 
建て方に向けて、手刻みの加工を進めている。
 
 
 
 2020.01.20