森田の家
 
東南角地の敷地は、旧集落と新興住宅地の境にあり、隣地は農家型の屋敷なので環境にも恵まれている。
クライアントは30代のご夫婦と小さな子供達で、自動車で10分程の距離に両親の家があり、頻繁に行き来が予想される準2世帯住宅とも考えられる。
クライアントご夫妻の希望される住宅には各人の個室の必要性は低く、大きくなる子供たちが個室を必要とする期間は短いので、むしろ、老後には使いにくい2階建ての大きな家は避けたいとのイメージがあった。
クライアント夫妻が建築後30年を迎えてもまだ老後とは言えないので、この住宅に期待される寿命を50年以上として検討すると、維持管理の計画と、子供たちが独立した後の生活のイメージについてもおぼろげながら話題にすることになった。
外壁は耐久消耗材なので、塗装のメンテナンスで済み、部分的な取り替えが可能な福井県産材の杉の下見板張りとし、20年以上はメンテナンスの必要のないガルバリウム鋼板の屋根の庇を1m以上張り出して、外壁の保護と夏場の直射対策としている。
構造では、積雪1mに対応し、震度6強の強い揺れに対して損傷が少ないことを目標に構造壁を増やしている。これにより耐力壁線間が短くなり、接合部の負担が小さくなったので、木部の痛みの原因にもなるボルトの使用を最小限にできた。
天井にも県産杉材を使用しているが、水平構面の耐力を確保できることに加えて、経年変化を楽しめる無垢材としての価値を期待している。
断熱性能も熱損失を計算し、高性能の断熱材の使用時に問題となる結露に対しても対策をすることで、長期間に快適に生活することができるよう対応している。
(長期優良住宅の認定を受けています)