進捗状況_福井市の家ヒライリ

 
建築中の住宅は、外部の造作工事はほぼ完了して、内装の木工事を進めている。
 
 

 
窓の外に布団を干すための手すり。
 
 

 
腕木を柱に差し、壁から手すりを持ち出している。
 
 

 
2階の天井の納まり。
屋根の勾配に対して、登木の勾配を緩くすることでフトコロができるので、天井の断熱材を十分に入れることができる。
 
 
 

 
天井仕上げは、登木を現しにして、色付けをしたラワン合板を貼っている。
勾配天井のため、開放的な高さになっている。
 
 

 
近隣の住宅が密接して建っているので、1階では十分な開口部の確保が難しい。
暗くなりがちな廊下・階段の採光をハイサイドの窓から得ている。
見上げの梁は地松。湾曲した丸太をそのまま仕上げている。
 
 

 
床板はカバの無垢材で、オイルで仕上げている。
 
 

 
飾り棚用の栃の挽き板。
天然木のイメージを残して仕上げる予定。
 
施主家族と現場で打ち合わせを重ねながら変更される部分と、その時々での材料との出会いが、設計段階には無かった造作を生み出すことがある。
 
 
 2020.05.30

 

 住まいづくりから新型コロナを考える

 
新型コロナウィルスによる肺炎風邪に対して、社会全体が協力して対策をとることの衛生上の効果は大きかった。
 
しかし、それ以外での社会全体への影響も大きく、どれほどのダメージになるのかは、これから徐々にわかってくる。
 
外出の自粛と、サービス業を中心とした営業の縮小と自粛についての是非は、情報が毎日、更新されていく今の状況では、正誤を下すことは難しい。
 
でも、住生活の中で、「清潔を保つ」こと「風通しと日当たりがいい」ことは、明らかに効果があったと言える。
 
家に帰って、一番に手を洗い、できれば服も着替える。
家の中でも、こまめに手を洗う。
キッチン、ダイニングテーブルを清潔にする。
 
カーテンと窓を開けて、開放的にする。
空調時期においても、窓を開けて換気をする。
 
感染しても、発症しない人の方がはるかに多いことは、早い段階で判っていた。
それは、人が本来持つ免疫力が、新型コロナウィルスに限らず、病気にならない体づくりに大事だとのことで、この免疫力は、ビタミンDと日光浴であげることができるらしい。
肉を食べて、日中、外に出て、活動的に生活することが、やっぱり健康に一番だということか。
 
 
これまで、こもりがちの生活は、健康によくないと言っていたのに、「stay home」の合言葉で1か月以上も「1億総ひきこもり」を薦めてきた。
首都圏のような人口密度の高い地域では、住空間の質がよくなければ、「stay home」していても肉体的・精神的によくない。
 
 
諸外国に比べて、日本の新型コロナの感染者・重傷者の数が極端に少ないことは、住生活の違いが大きいのではないかと言われている。
 
これまでをまとめると
 
こまめに手洗いができること。
着替えも帰宅時にできるとよい。
キッチンとテーブルを清潔に保てる。
窓を開けて風通しを良くできる。
日当たりが良く明るく生活ができる。
加えて、
畳のような清潔な床。
快適な睡眠が可能な寝室。
 
列記してみると、何一つ新しいことはないが、あらためて住まいづくりには大事なポイントだとわかった。
 
 
 

 
 現在建築中の住宅では、可能なかぎりの大きな開口部と開放的な天井の高さを確保している。
これでもまだ足りないところがあれば、神様にお頼みすることとして、地鎮祭の時のお札を天井裏に納めている。
 
 2020.05.23

 

 越前瓦葺き_福井市の家ヒライリ

 
屋根を地場の越前瓦で葺きあげた。
 

 
瓦は粘度を成形して窯で焼いて造られる(焼成)。
 
瓦の生産地は日本の各地にあり、いい土が採れる地域であれば、瓦も造られている。
 
福井では、焼物の日本六古窯の一つでもある越前焼の産地、越前町小曽原(宮崎村)周辺に多くの工場があったが、だんだん少なくなってきている。
 
瓦は6世紀に渡来人によりもたらされ、仏教との関係が深い。
 古代では、寺院の屋根は瓦葺き、貴族の住宅の屋根は檜皮や柿(こけら)で葺かれていることが多く、一般庶民の屋根に瓦が使われることはなかった。
江戸時代の1720年に将軍吉宗が瓦葺禁止令を廃して、江戸市中の一般住宅の屋根に瓦屋根が推奨されるが、その理由は、茅葺きや板葺きの屋根が連なる江戸の町が、何度も大火に遭ったことにより、都市の防火性能を向上させるため。
もう一つの理由は、1600年代に考案された江戸葺瓦・並べ瓦(現在に見られるS字の形状の桟瓦)により、作業効率が大きく改善されたことが大きい。
 
明治に入り、葺土を使わない、今の引掛け桟瓦に改良されて、広く日本の屋根葺き材として普及する。
 
しかし、現在では、屋根の軽量化が耐震に有効であることやフラットな屋根のデザインが好まれるなど、工法が多様化して、特に、伝統的な風情が強い桟瓦の屋根は少なくなってきている。
 
 
この住宅で使われている越前瓦は、福井の伝統的な地場の建材で、吸水率を少なくするために酸化鉄の釉薬を裏表に着けた釉薬瓦で、焼成の最後の工程で燃焼に必要な酸素を少なくして、一酸化炭素を発生させ、釉薬の酸化鉄を、酸素の奪われた酸化鉄にすることにより、青みがかった銀色(銀鼠)に仕上げられている。
焼きの温度も高いので硬く、雪に強い瓦と言われている。
 
 
 

 
いらかの波を上から見るとこの通り。屋根雪を1.5mまで載せても大丈夫なようにしていて、雪止め瓦で滑雪を防止している。
 
 
 
 
勾配は5寸で、中央に少しの起り(むくり)をとり、柔らかい表情にしたいと考えた。
 
 
 

 
軒先の庇は、勾配を7寸に変えて大きく出し、窓を雨水や直射日光から守っている。
 
 
 
地域の伝統的な材料を使い、風景にとけ込む美しい建築を作りたいと目指している。
 
 2020.04.12

 

 土壁のサンプル

 
住宅に土壁を採用したいと考えている。

古民家や寺院建築の再生工事では、既存の土壁を活かして仕上げることが普通に行われるが、新築のケースではまず見ることが出来なくなっている。
古民家の再生で、土壁の味わい深い雰囲気を残すことで、長い時間という重厚さを増すので、多少のコストが必要でも、残す方向に自然と計画が進む。

しかし、住宅の新築計画になると、ボードの下地に漆喰や流行りの珪藻土で仕上げる左官仕事に比べると、小舞下地に荒壁土を塗るところから始める土壁は、コストがかかるので、提案されることもない。

にもかかわらず、土壁を…と考えるのには、機能性において優れたものがあるから。

まとめておくと、

1.調湿機能…湿気どころか水を吸う。わずかな厚みの珪藻土の調湿機能など土壁に比べると無いに等しい。
2.蓄熱機能…断熱材と組み合わせて、暖房・冷房時の熱を保持できるので、冬に暖かく、夏に涼しい内部空間ができる。
3.経年変化が少ない…他の工業建材に比べて、経年劣化のスピードが緩やか。また、時間が経つごとに良い雰囲気を出していくので、日本の文化財建造物は、ほぼ木と土の建物である。 
 

 
新築の打ち合わせの時に、土壁の良さを少しでも理解していただきたいので、サンプルを左官やさんに作ってもらった。
サンプルでは、荒壁土から仕上げの漆喰塗りまでの工程がわかるようになっていて、触っていただくこともできるので、その良さを肌でご理解いただけたらと考えている。
 
 
 
 2020.03.28