瓦の話
左:三州瓦 右:越前瓦
計画中の屋根に使う瓦について、特に三州瓦と越前瓦との違いについて把握したかったので、日頃お世話になっている瓦屋さんに伺った。
わかりにくい写真だが、左側が三州瓦で右側が越前瓦。両方とも釉薬瓦で吸水率の少ない、冬期の凍害防止を考えたものだ。
越前瓦の方が若干大きく、厚いため、持つと重さの違いが歴然とわかる。
三州瓦の生産枚数は一番で、工業製品として規格されて作られていることも見た目の違いとして出ている。
越前瓦は多雪地域の瓦として作られているため、三州瓦よりほんの少しだが高温で焼かれていて硬いのが特徴で、そのためか、多少の歪みや色のムラがある。
三州瓦が工業製品なら、越前瓦は工芸品のような雰囲気があるので、この違いは並べて比べてみないとわからない。優劣で語られるものではなく、それぞれ特徴があるということだと理解した。
お忙しいところをお邪魔したが、わかりやすいように2枚並べて待っていて下さり、親切に教えていただいた。”やねやの猪島さん” ありがとうございました。
2011.10.02
養浩館
季節の折々にここに立寄ることが多い。
私たちは、池の周りの木々の間をぐるりと歩きながら福井藩主の別邸であった屋敷にアプローチするが、当時のお殿様はきっと船に乗ってゆるりと渡ったに違いない。
池の反対側から見る数寄屋造りの建物は池に浮かぶようで、ここからの姿が一番美しいので、立ち止まってしばらく見とれてしまう。
杮葺きと茅葺きの屋根が雁行しながら数珠つなぎに、また、非対称に横にひろがり、その外観が池の水面に写りこむため、重さを感じさせない。
長く突き出た庇の裏に池の水面に反射した光がゆらゆらと映り、振り子時計のように時間をゆっくりとすすめる。
周りの木々も秋の装いを始めていて、少し斜めからの日差しも季節の変わり目を感じる。
紅葉の季節を迎える。
2011.09.26
計画案の検討
設計作業の途中で、模型を使って確認をする。
有名な建築家で故清家清さんは模型を一つも造らなかったそうで、そのお話を聞いていたある若手の建築家は驚いて「なぜ・・・?」と問いかけたら逆に驚かれて、「なぜ造る必用があるのか・・・感が悪いのか?」と言われてしまったそうだ。
縮尺大の模型をわざわざ造り、全体のボリュームやプロポーション、見え方を確認したくて白いスチレンボードで模型化するが、頭の中で立体的にしっかり組立てていれば必用のないものだということだろう。
だって、これを上手に造ったからといって実際の建築が出来るわけではない。
しかし、これからつくられる建築の細部の納まりや組立て方の検討方法として実物大や1/2ほどのサイズの模型を作ることは昔から行なわれている。
縮尺サイズでも実際に一通り作ってみることで解ることがある。
清家先生には「感が悪い」と言われそうだが、悪いからこそ時間と手間をかける必用がある。
2011.09.25